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Directed and Produced by
純谷吉松(Itoya Kichimatsu)


■2004年10月のニュース一覧
▼[2004.10.30]そらの果て
▼[2004.10.28]携帯動画の進む道
▼[2004.10.26]まくういるすの勘所
▼[2004.10.24]声が聴きたい
▼[2004.10.22]カプセル・エイジ・ラバーズ
▼[2004.10.20]鎖国踏潰事態
▼[2004.10.18]立ち止まったら
▼[2004.10.16]製品レビューっぽいHS-4W
▼[2004.10.14]死すべき資格
▼[2004.10.12]速さがすべて
▼[2004.10.10]本のなかのお姫さま
▼[2004.10.08]conflicting viriis.
▼[2004.10.06]距離感の喪失とトウモロコシ
▼[2004.10.04]道化芝居の終演
▼[2004.10.02]あしたのネットワーク

■2004年11月のニュース一覧
■2004年09月のニュース一覧


 
[2004.10.30]
  そらの果て


 ▼『カッシーニ』探査、土星の衛星タイタンに深まる謎(WIRED NEWS)
  http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20041029304.html


 「宇宙」と書いて,「そら」と読ませることが多い。そらは,手が届かない場所のことを云う。

quote:米国航空宇宙局(NASA)の土星探査機,カッシーニが,土星の衛星タイタンの写真を送信してきた。が,明るい部分と暗い部分が点在する以前の画像と変わらず,いまだその原因はわかっていない。だが,タイタンの南極付近に雲の存在が確認された。これはタイタンにスーパー・ローテーションが起きている有力な証拠となる。

 この記事を読んだ人は思うだろう。これは空想の物語のお話か,それとも夜空に輝くシリウスより向こうにある,ただ点でしかみえないほど遠くの星の話のことか,と。タイタンのことは,それほどなにもわかっていない。望遠鏡では優雅な輪を持つのがみえ,探査機を送り込むほどの距離にある土星の衛星なのに,このていたらくはいったいなんなんだ。人間の科学力とはこんなものか,と。そして,こんなものなのだ。

 「実際のところ,人が知っていることは,地球のことだけなんです。人が月に行ったことなど,誰ももう信じてはいない。もう何十年も昔の話で,それからもう一度行くこともかなっていないし,なにか発見があったわけでもない。そんなことが,あり得るわけがないでしょうが。もう一度云いましょう。人は地球以外のことは,なにも知らない。宇宙とは,いまだSFの世界でしかないのです。ただ,知ろうという気持ちしかない。それが現状です。ですが,それでよいのです。その気持ちがあしたを作る唯一のもの。いつかタイタンの地表のカフェでアイスカフェモカを注文する日が,それだけで作られるのですから」。



 
[2004.10.28]
  携帯動画の進む道


 ▼「動画対応は間違い」とジョブズ氏、iPodは写真対応に(ITmedia News)
  http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0410/27/news019.html


 携帯電話で動画を楽しんでいる人なんてわずかなように,携帯動画にはもっと別の発想が必要だ。iPodで満足しているような人間には,思いつかないような発想がね。

quote:アップル社は,カラー画面搭載で写真を格納できるiPodの新モデルの出荷を開始した。スティーブ・ジョブズCEOは,動画を再生することは,携帯プレイヤーの進む方向として間違っている,正しいのは写真だと述べた。

 確かに携帯プレイヤーの動画対応は,わずかなユーザーしか惹きつけないのはわかっている。音楽をエンコするのはCDを入れてボタンを押すだけなので誰でもできるが,動画をエンコしているユーザーの数なんてたかがしれている。多くの人にとっては,動画はまだ,鑑賞するものでしかない。携帯プレイヤーの画面で動画を再生しても,320×240ピクセル程度が限界だろうし,外出先や移動中に観ることができることも少ない。まぁ外出先や移動中に写真を観たいと思うこともないだろうし,ましてやテレビに映して観たいという人も観るのかどうかわたしにはわからないが。

 なんにしても,動画を再生するにしてもいまのアップルが作るとしたらMPEG4になってしまうわけで,現在のMPEG4では画質的に満足できるものではない。これははっきり云ってアップルの落ち度と云えるだろうが,唯一MPEG4にエンコードできるようなクイックタイムプレイヤーは,まったくもってよい画質を得られない。DivX/Xvid系と比べれば一目瞭然。いつか画質が改善されると期待していたが,さすがに待ちくたびれた。そしてアップルは音楽販売ばかりに目が向いて,MPEG4の改善はそっぽを向かれたまま。なのでiPodが動画対応をやめたと明言したのはかえってありがたい話だ。そして,携帯できる動画プレイヤーと云う市場は,他社に任せた方がユーザーの利益になる。



 
[2004.10.26]
  まくういるすの勘所


 ▼Mac OS X rootkit surfaces(The Register)【英語】
  http://www.theregister.co.uk/2004/10/25/mac_rootkit_opener/


 マックユーザーでウイルス対策ソフトを使っている人なんて,みつけるのも難しいんだから,下地はできてますかそうですか。

quote:マックOS Xを対象とした悪質なワームが登場している。オープナー(ソフォス社のページ)と呼ばれるそのワームは,キーロガーなどさまざまな破壊的機能を持っている。オープナーは拡散しておらず,マック・コミュニティでの情報はこのワームの威力が強まらないようにと話が進められている。

 まぁオープナー開発元のひとつのようにもなっているページをきちんとくまなくみれば,オープナーがどんな働きをするか,どんな作り方をすればいいか,すぐにわかるだろう。現在のところは,オープナーがシステムに入り込むには,直接相手のマックを操作するか,管理者のパスワードが必要になるので,さっぱり拡散してはいない。が,ソフォス社のページのニュースリリースにあるように,ウイルスとかにはすこぶる安全と思い込んでいるマックユーザーにはよい警告になるだろう。まぁ警告なんかしてもムダなのは,わかりきってることだけど:-D。

 記事にもあるが,1980年代後半ごろにはウイルスはPCではなくマックでの大問題だった。もちろんいまのマックOS Xではなくクラシックマックのほうだが,CProやnVIR,あとハイパーカードのウイルスなど,懐かしい人もいるだろう。なんかアンチウイルスソフトもあったなと思ってたら,そうそう,Disinfectant。まだ配布してるのか(ベクターのページ)。オープナーはどうやって拡散させるかが鍵になるけど(そもそもユーザーが少ないしね),やれること(リモートコントロール,ファイルの削除,パスワード変更,セキュリティ設定の変更など)の力は存分にみせているので今後が楽しみだ。



 
[2004.10.24]
  声が聴きたい


 ▼Internet telephony start-ups double growth monthly(silicon.com)【英語】
  http://networks.silicon.com/telecoms/0,39024659,39125160,00.htm


 君の声を聴くのに,家から歩いて15分のカフェで君と待ち合わせる必要もない。寒い冬の公衆電話でテレフォンカードの残りを気にしながら,朝まで立ち話する必要もない。そんな,あした。

quote:スカイプ社は,同社のピア・トゥ・ピア電話ソフトの同時接続数が100万に達したと発表した。また,ブラウザベースのネット電話サービスであるボイスグロー社は,顧客が200万人に近づいており,月平均122%の成長率になっていると述べている。それらのVoIPは一般消費者に使われ始めており,極度に規制と課税がされている従来の電話ネットワークの代替手段となっている。スカイプもネットグローも,余計な追加設備なしで通話が可能だ。

 いままでのネットワークでは,声はほとんど聴こえなかった。マックOS XではiChatで動画によるチャットができるが,使っている人はあまりみない。声だけってのは,なにかと便利で嬉しさがあるものなのかもしれない。個人的な話で申し訳ないが,ブルートゥースのヘッドセットを使うようになり(過去記事),パソコンでスカイプを使ってみたのだけど,まったく問題なかった。プロバイダの料金などは払っているけど,通話料などない。朝まででも1日中でも声を聴いていられる(参考としてNikkei IT Proの記事)。

 わかりやすく云うと,10年後にはいまの固定電話会社,携帯電話会社は,ひとつもなくなる。もしあったとしても,それは通話料金で生計を立てている会社ではなく,IPの基盤を提供する会社でしかない。携帯電話は残るでしょとなにも考えずに云う人もいるかもしれないが,サンフランシスコでのニュースのように(ITmedia Newsの記事)街中のどこででもIP網に接続できる環境は一般的になるので,そこではスカイプをソフトウェアにした携帯電話があれば,ほかのものは必要ない。あしたの,君の声を,聴こう。



 
[2004.10.22]
  カプセル・エイジ・ラバーズ


 ▼Poor nations on front line of operating-system wars(USATODAY.com)【英語】
  http://www.usatoday.com/tech/world/2004-10-19-linux-os-wars_x.htm


quote:サンパウロの貧しい市民10万人以上に対する政府の情報技術研修によって,コンピュータを使ったことがなかった人々がいま,電子メールを書いてネットサーフィンをしている。ブラジル政府は2001年からウインドウズではなくリナックスを使い始めており,それによって約1000万ドルを節約している。また,ハッカーやウイルスからの攻撃にも弱くないので,メンテナンスも節減できている。

 「彼女はどこでみかけても,ヘッドフォンでなにか音楽を聴きながら文庫本を読んでいた。目立たない,変わったところもない,どこにでもいる普通の女の子という印象しか,ほとんどの人は持っていない。みんなでガヤガヤと話し合っているときでも,自分から口を開くことはほとんどない,感情を表に出すことも少なく,明るい顔も愛想笑いしかみたことない。みんなの連絡帳の彼女のメールアドレス欄は空白で,ウェブで話題の話も全然わからないという顔でいつもきいていた。でもボクは,彼女の一面を知っていた。

 たまたま部室で二人きりになったときも,彼女はヘッドフォンで音楽を聴きながら,本を読んでいた。かすかに聴こえた音,あっ,スージー・アンド・ザ・パンシーズだ。彼女はずっと本に没頭していたけど,ボクはそれに気付いていた。続けてフランソワーズ・アルディが聴こえた。ボクはなんとなく彼女の雰囲気に似合わないそれらに驚きながら,どう話しかけたらいいか考えてた。ふと,ずっとみられていることに気付いた彼女は,ボクをみながら首をかしげた。ボクはボーっとしながら,自分の持っている携帯MP3プレイヤーのヘッドセットを彼女に渡した。携帯MP3プレイヤーには,LONG VACATIONとP-MODELが入っていた(彼女は,有頂天と平沢進ソロの方が好きと後にきくことになる)。

 彼女とたまに話をするようになったのはそれからだ。ヒトゴミと海が苦手なこと,携帯電話もパソコンも持ってなくて,ネットもしたことがないこと,学校でもネットはできるけど,立ち寄りがたくてしたことがないこと,彼女のことを少しだけ知っていった。だがしばらく経ったある日,誰もほかに人がいないときに,彼女がフリッカー・コムの使い方について恥ずかしげに訊いてきた。パソコンを買ったのかどぉかもわからないけど,とりあえず公開している写真をみるためのURLを教えてよと訊くと,あとでと軽くいなされた。…ただ,それだけのことだ。だけど,ボクはちょっとだけうれしく感じていた。アン・ディスコミュニケーション,シャルロット・ゲンズブールに似た横顔の向こうに,モノクロームの半月が輝いていた」。



 
[2004.10.20]
  鎖国踏潰事態


 ▼ノキア、W-CDMA/GSM対応の「Nokia 6630」を国内販売(Impress ケータイWatch)
  http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/21028.html


 鎖国していたからと云って,江戸時代の人々が不幸だったとは云わない。だが,進化のない,足踏みだけの状態を強いられていた部分もあったと考えたい。技術,学問においては,その影響はあまりにも大きかった。なにも知らない人は,知らないまま幸せに生きていたのだろうが。いま,この国の携帯電話事情は,それに似ている。

quote:ノキア社はノキア6630を日本市場向けに発表した。年内にボーダフォン向けにボーダフォン702NKとして販売し,ノキアからはどのキャリアでも利用できるスタンダードモデルとして来年初等に販売する。ボーダフォン向けモデルではボーダフォンライブのサービスが利用可能。スタンダードモデルの価格はオープンプライスだが,ほかのノキア製端末と同レベルの価格帯になるとのこと。

 ひと月ほど前にボーダフォンからノキア6630を冬モデルとして出すと発表され(ITmedia Mobileの記事),ノキアの端末が欲しいと云っていた人が喜んでいたのをおぼえている。ノキア7600(過去記事)がいいよとわたしが云っても,値段が高いと一蹴するような人には,インセンティブ価格でないと相手にされない。だが,わたしはきちんと機能などが発表になるまでは待った方がよいと思っていたのだが,実際,その通りになってしまったようだ。ボーダフォンモデルとスタンダードモデルの比較表がノキア社のページにあるが,ボーダフォンモデルはSIMロックがあるのは仕方ないとして,Eメールソフトと音楽プレイヤーがなくなっている。つまり,自由にPOP/IMAPのEメール受信ができなくなり,パソコンから転送したMP3の再生もできないようだ(もしかしたらJavaアプリなどで可能にする方法があるかもしれないが)。

 わたしがノキア7600でもっとも使っているのは,MP3・AACを再生できる音楽プレイヤーだ。ブルートゥースのヘッドセット(過去記事)でずっと音楽を聴きながら,電話がかかってきたらすぐに着信を受けられる。果たしてボーダフォンが音楽プレイヤーを取り除かせたのかはわからないが,他国で人気を得ている大きな特徴をあっさりと潰すのは,やはりこの国の携帯電話事情の病理を表しているようだ。携帯電話で自由にパソコンから転送した音楽を聴かれたら着うたが売れなくなると云う,この国の音楽に関わっている人間の変態ぶりによるものとしか考えられない。島国根性丸出しで,囲い込んで金をむしり取ることしか考えることができない,そんな人間どもがいる下で,本当にこの国で携帯電話を使っている人たちは,幸せだといえるのだろうか? 6630はボーダフォンモデルはたぶん2〜3万円,スタンダードモデルは4〜6万円ぐらいになるだろう。どちらを買うのが正解か,たくさんの人に考えて欲しいが…。



 
[2004.10.18]
  立ち止まったら


 ▼老兵は死なず――誕生から10年を経たNetscapeに復興の兆し(ITmedia News)
  http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0410/14/news016.html


 ただ,それでも。人は思い出をよりどころとして生きることを,やめられない生き物でもあるのだが。

quote:13日に誕生10周年を迎えたネットスケープブラウザは,以前の輝きを失って変わり果ててしまっているが,AOL社はネットスケープというブランドの復活に向け,準備を進めていると云う。同社はネットスケープブラウザとウェブポータルの最終仕上げを行っており,12月か1月に公開するとみられている。しかし,落ちたネットスケープのブランドを回復させるのは難しいとみるアナリストもいる。

 オープンソース化されたのちのモジラ派生ブラウザではなくネットスケープのブラウザ,つまりネットスケープ・ナビゲーターを使ったことがあるかどうかで,ネット暦が長いかどぉかわかるのだと云われる。AOLに買収されてからのネットスケープブラウザを使っている人などみつけるのも難しい状態が続き,結局ネットスケープは年寄りの思い出話のネタでしかなくなった。AOLがネットスケープを復興させようとしているという話は春ぐらいにもあったが(過去記事),さて,記事にある12月か1月の発表で,なにかがあるのだろうか。

 ネットスケープ社を立ち上げたジム・クラーク氏は自叙伝でなかで,速度を出してこそ安定した走行が得られると云うバイク・レースの格言は,そのままテクノロジー・ビジネスでも当てはまると述べている。1度のミスは取り戻せるかもしれないが,2度ミスを犯したらもう誰も見向きもしてくれない。そんな速度で,すべてが進んでいる。立ち止まったらもう死ぬしかない。ハードウェアもソフトウェアもネットワークもネットワーク上を流れるコンテンツも,数年前のものが使われ続けることはあり得ない。昔のものが話に出てくるのは,思い出話のなかだけだ。長く,完全に立ち止まってしまったネットスケープも,同じなのかもしれない。ただ。(refer to 『起業家ジム・クラーク』



 
[2004.10.16]
  製品レビューっぽいHS-4W


 ▼IP電話とSkypeとBluetoothの濃密な関係(日経IT Pro)
  http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20040923/150287/


 手軽に買えないし誰も待ってないし全然役に立たない製品レビューのコーナーです。きょうの商品はノキア社の「ワイヤレス・ブーム・ヘッドセット」。

quote:海外ではブルートゥースのヘッドセットをつけたビジネスマンによく出会う。日本ではブルートゥースを使える携帯電話がほとんどなかった。それは無線通信機器に対する認定業務が面倒で時間がかかりすぎるから。だが道路交通法改正で車の運転中の携帯電話の操作に罰金が科せられるため,ハンズ・フリーのブルートゥース・ヘッドセットの需要が高まりそうだ。このブルートゥース・ヘッドセットはパソコンのIP電話でもよく使われる。

 ほかの人はそう思わないのか不思議だが,わたしは街中で耳に携帯電話を押し当ててしゃべっている姿がひどくカッコ悪く感じる。なので,わたしも街中で電話をしなければいけないときは,できるだけ人目の少ない場所に移動してから話してた。で,なんで海外のようにブルートゥース・ヘッドセットがないのだろうと思ってたんだけど,まぁ記事にあるような理由らしい。アホらし。せっかくわたしはブルートゥース対応のノキア7600も持ってるんだし,ノキアの新しいブルートゥース・ヘッドセット,HS-4Wを海外通販で購入した。パッケージ(pic)にはヘッドセット本体と説明書(8カ国語で日本語は当然なし)しかない。充電はノキア7600のACアダプタでできる。操作ボタンとかはそんなになく,耳から伸びているマイクへの棒の裏部分に電話を受けたりかけたりするボタンがある(picの左側,白い部分)。着信音がヘッドセットで聞こえたらボタンを押して電話を受ける。1回長めに押して登録しておいたボイスタグをしゃべると電話をかける。2回連続して押すとリダイヤル。携帯電話本体はバッグの中にしまっておいて,手に取る必要もない。

 耳にセットした感じは(pic)痛みとかもなく,問題ない。メガネをかけてても大丈夫。ノキア7600では自分のパソコンで聴いていたMP3ファイルをそのまま再生できる。HS-4Wでは音質は悪くなるけどきちんと再生音が聞こえる。MP3で云うと56kbpsぐらいの音質だろうか。まぁAMラジオ程度なので,音質に全然こだわりのないわたしにはそれで十分。着信があると一時停止し,電話を切るとまた再生が始まる。邪魔くさいヘッドフォンのコードもなくなってありがたいこってす。なぜ音質が悪いかと云うと,高音質を維持すると電源を食うから。ブルートゥース接続機能のあるパソコンともつながる。音を出さない方がいい場所でもBGMを再生させながら警告音もちゃんと聞こえる(pic),もちろんマイクとしても使えるので(pic),記事にあるようにスカイプで便利だろう。総合的にみて,普通に便利でもう手放せません。



 
[2004.10.14]
  死すべき資格


 ▼Seven dead in net suicide pact(The Register)【英語】
  http://www.theregister.co.uk/2004/10/12/net_suicide_pact/


 死に方は,考えれば考えるほど大事であることがわかる。人は死ぬために,生きているのだから。

quote:日本で若い7人がインターネット上で連絡して計画を立て,自動車の中で自殺したとロイターが報じている。4人の男性と3人の女性は,東京の近くの皆野という場所の車の中で一酸化炭素中毒で死んでいた。関連は未確認だが,そのなかの2人の女性は以前東京の南で自殺を行っていた。当局はネットで連絡をとった自殺で,昨年34人が死んでいると報告している。

 死にたい奴は勝手に死なせてやればいいのにと個人的には思うんだけど,宗教家を中心として自殺は悪であると考える人もいるようだ。死にたいときに死ねない人間はもっと不幸なだけであり,死ぬ権利ぐらいは自由に持っていてもよさそうなものだが。別にネットで一緒に死ぬ相手を探すのもおかしいことではない。ネットで,一緒に死ぬことを話すのも,就職先についての不満を話すのも,ネコミミモードについて話すのも,なにも違わない。

 人は自分の「生」を,自由に作ることができないことが多い。生まれた場所も変えられないし,年月もごまかせないことが多い。性別は変えることができるようになってきたが,なぜか性別を変えたというあまりよくない印象が付いて回ることが多い。だがその分,「死」は思い通りにできるものだ。穏やかに昔を懐かしみながら老いを過ごして家族に見取られてもいいし,爆弾を胸ポケットに忍ばせて無能な警察署に突っ込んでいってもいい。ネットワークにはいろいろな死に方の手引きがあるだろう。死に方とは,生きる者に与えられた最大の資格なのだから。



 
[2004.10.12]
  速さがすべて


 ▼データ転送のギネス記録が塗り替えられる - 選ばれたOSはNetBSD(MYCOM PC WEB)
  http://pcweb.mycom.co.jp/news/2004/10/01/009.html


 「速さだけが,すべてだった。いい人である必要もない。優しい男である必要もない。有能な社員である必要もない。ただ,速さがあればいい。それだけがわたしにとって,生きている証だった」。

quote:インターネット2プロジェクトから,インターネットを経由したデータ転送の世界記録が更新されたとの発表があった。記録は1830GBのデータを約29000キロメートル先まで,4.31Gbps以上の速度で転送したという。東京大阪間26往復の距離を,約60分で転送したことになる。

 「速く駆け抜けることがすべてだと思っていたが,アメリカン・フットボールはそんなボクに走り方を教えてくれた。アメフトは走ればいいというスポーツではない。まず,敵を避けて捕まらないようにする必要がある。相手の前で一度立ち止まってカットバックし,相手をすり抜ける。また,瞬発力も試される。100メートル走では50〜80メートルほどでトップスピードに達すればいいが,アメフトではここぞというときに数歩でトップスピードに達する必要がある。そうしなければ,敵に叩きつぶされる。速さとは,能力ではない。技術なのである」。

 「速くない人間は,常に置いていかれるだけだ。もしメロスが,100メートル20秒のスピードで走っていたとしたらどうだろう。誰がそんな物語を読みたいと思うだろうか。町中を走るバスと同じスピードしか出ないF1には存在意味がないし,宇宙飛行機はマッハの速度があるからこそ,地球から離れられる。速さがかなめであり,命の慈しみである。速さがあれば,ほかにはなにもいらない。時速2万9000キロメートルのネットワークよ。そこに流れる,時速2万9000キロの言葉を,音楽を,動画を,想いを,わたしたちは作るんだ,命尽きるまで」。



 
[2004.10.10]
  本のなかのお姫さま


 ▼米Google、書籍の中身まで全文検索する「Google Print」開始(Impress INTERNET Watch)
  http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2004/10/07/4898.html


 本の中にいるお姫さまの気持ちを知るものなど,この世にはいませんでした。そしてお姫さまは年老いて,死ぬだけです。

quote:グーグル社は,書籍の情報を対象にして全文検索を行うグーグル・プリントのサービスを開始した。現在は英語圏だけで利用可能。グーグル・プリントでは,グーグルで検索したキーワードに該当する書籍がある場合,ページ上部にリンクを表示し,それをクリックすることでスキャンされた書籍の一部内容が表示される。またその本を購入するためのオンライン書店へのリンクも表示される。表示される書籍の著作権が問題となるが,グーグル・プリントでは表示される内容は保存できず,30日間に書籍の何%をみることができるか設定できる。

 もともと地球上にあるすべての情報を検索し,入手するために存在するネットワークは,すでにある本の情報がどんどん注ぎ込まれるべき場所だ。が,実際にはそれはかなわず,小さなウェブページがひとつひとつ作られていくことで文字情報を増やしてきた。そのウェブの情報量は,いまでは大きな図書館にある本の情報量をしのぐほどにもなっているのだが,本来はあってしかるべき本の情報がないのはもったいないと普通の人ならみな思っている。だが,本の情報を検索できるシステムなど作られる話もきかない。ああ,本の中に閉じこめられて打ちひしがれる,お姫さまの気持ちやいかに。

 どこにも行けず,探している人が会いに来る手はずもなく,ただ牢獄のなかで老いるのを待っているだけのお姫さま,それが書籍というものの存在だ。もちろんスキャンしてアップされている本は山のようにあるが,絵となっているその画像では,キーワードで検索することもできない。どこかにこのお姫さまを救い出す勇敢な若者はいぬものか。ということで,グーグル・プリント。まぁすぐに膨大な書籍情報が検索結果に表れるわけがないと苦笑いすることになるんだけど,始まりではある。記事中のグーグルの言葉である,書籍のマーケティングであって図書館ぢゃないというのは,誰でもわかる嘘である。初期のグーグルの思想からすると,ただ単にすべての検索結果を提供するという意志の表れだろう。まぁ,本当のことを云ってたらいつまでもお姫さまは救い出せないとわかっているのだから。



 
[2004.10.08]
  conflicting viriis.


 ▼New Trojan program squashes adware(Computerworld)【英語】
  http://www.computerworld.com/securitytopics/security/holes/story/0,10801,96455,00.html


quote:新種のトロイの木馬,ダウンローダー・ルーニーは,パソコン上で面倒な広告活動を行うアドウェアを削除する機能を持っている。が,よいことだけではない。ほかのトロイの木馬と似て,ウインドウズの設定を変更して遠隔地からファイルのダウンロードができるようにしてしまうと,シマンテック社は警告している。ルーニーはアドウェアのプロセスを停止し,システムからアドウェアのファイルを削除しつつ,ウインドウズのホストファイルを修正して,一部のウェブページへのアクセスを遮断してしまう。

 「『ドック』と云うウイルスが大はやりし,その特徴がニュースサイトでもてはやされた。ドックはパソコンにパックドアを仕掛けると同時に,数週間前から大流行のウイルスである『ダック』のタスクを終了させると云う機能も持っているのだ。『ダック』は無駄なメールを連発して,大企業などではネットワークの遅延が起こるほどの被害を生んでいたため,ドクター・シマンテックを呼ぶよりもドックに駆け込んだ方が速く障害を直せるかもねと揶揄されるほどだった。

 だがそれから1週間ほど経ち,また新しいウイルスの拡散が報告された。『ルック』と呼ばれるそのウイルスは,パソコン内のファイルを複数のアップローダに次々アップロードしてしまうという害悪を持っていた。が,それを実行すると同時に『ドック』のバックドアをふさぎ,『ドック』のファイルをすべて削除してしまうという性質も持っていた。このダック→ドック→ルックというウイルスの連鎖はいろいろな憶測を読んだ。一見,いいヤツと思わせて安心させてもっと悪いことをする,名前も似ているし,同じ作者のウイルスなんぢゃ? と云われた。が,一部の人間は誰が作者なのか気付き始めていた。

 ウイルスのヘッダ部分をみるツールがある。同じ作法で作成されたウイルスは,コード内の同じ個所に文字が埋め込まれている。そのツールを使うと,埋め込まれている文字が表示されるのだ。ダックとルックにはあるウイルス作者に対する口汚い罵りがコメントされており,対するドックにもダックの作者に対する罵りがコメントされていた。2人が顔を出していたと云われるIRCを突き止めて顔を出し,話をきいてみると,確かに2人はひと月ほど前にIRC上で大げんかをし,それ以来ログインしてきてないらしい。つまり,一連のウイルス騒動は,2人の個人的なケンカなわけだ。そしてドックの作者と親しい人によると,ドックの作者はまたルックを止めるウイルスをリリース間近だと云うことだった。それは『ハック』と呼ばれるだろうウイルスで,これまでの害悪などまったく及ばないほどの《this text repaired 1 infection(s).》」…。



 
[2004.10.06]
  距離感の喪失とトウモロコシ


 ▼Private craft launches a new era(USA TODAY.com)【英語】
  http://www.usatoday.com/tech/science/space/2004-10-05-ansarix_x.htm


 『「トウモロコシについてたタグには,日本の北海道というところで獲れたトウモロコシだと書いてあったわ」と彼女はチャットで笑いながら答えていた』。

quote:世界初の私的な有人宇宙飛行機であるスペースシップワン号は月曜日に,一般的には宇宙との境目となる62マイルより上空に到達した。民間の宇宙への飛行に1000万ドルの賞金を用意していたAnsari X賞の責任者は,この飛行が宇宙旅行産業の始まりになると述べた。またAnsari X賞を主催するX PRIZE財団の創設者は次のように語った。「きょう,歴史が創られた。私たちは,新しい時代の誕生,宇宙飛行革命に居合わせたのだ」。

 私事だが,知り合いが英国から帰ってきた。日本に着いて家に戻ったとメールが来たのだが,なんとなく「おかえりなさい」という言葉が出てこなかった。なんでだろうと考えてたんだけど,やっぱり距離感がなくなってるからかもと思い当たった。たとえば10年前なら,地球を1周して来ましたなんて人がいたら,とんでもない大旅行をしてきたように感じたかもしれないが,きのうわたしは,南仏の大学生のサーバーから35GBのデータを4時間ほどで落とした。もちろんテキストファイル1個なら数秒で落とせただろうが,もし飛行機に乗ってそのファイルを運ぶと,飛行機に乗っている時間だけでも7時間ほどかかる。乗り継ぎや空港までの移動も入れると10時間弱だ。何時間もかかるところと数秒,数分ですむところの距離が同じとは,やはり思えない。

 この,距離感の喪失は,地球が大きな球であることを忘れさせる。遠いところ,とは,通信回線の整っていないところという意味になり,アナログ回線で接続している同じ街にいる人は,地球の裏側にいる人よりも遠いところにいることになる。宇宙は,そう考えるとまだ地球よりも遠いが,近い将来その考えも変わるだろう(ITmedia Newsの記事)。そのとき,宇宙への夢はある意味でかなうことになり,自分の部屋の冷蔵庫にある北海道産のトウモロコシと,火星の上で焼きトウモロコシをほお張る女の子とは,同じ秒数でアクセスできるようになる。その,距離感のない意識に慣れるために,わたしたちはいま生活しているのだとも云える。



 
[2004.10.04]
  道化芝居の終演


 ▼Sony Japan dumps lock-down CDs(The Register)【英語】
  http://www.theregister.co.uk/2004/10/01/sony_copy-control_cd/


 コピープロテクトがバカのすることだとは何度か云いましたが,終わり方までバカだとバカにする気力が残らず,失笑するだけでした。

quote:ソニー・ミュージックエンタテインメント社は,自社のコピーコントロールシステム,レーベルゲートをやめるつもりであると明らかにした。レーベルゲートは2003年1月に導入されたが今月出るものが最後となり,11月17日からは普通のCDが発売されるという。ソニーの動きは日本のレーベルであるエイベックス社の同様の決定に続くものだが,それは著作権侵害とファイル共有を止めるためにコピープロテクトを施したCDをリリースする西洋の動きに反している。

 うそをつかない人間なんていない。誰でもどこかでうそをつく。体面を保つため,礼儀をわきまえるため,その場をつくろうため,単に相手の機嫌を取るため。とりあえず,うそはいたるところにある。ただし,うそをついては元も子もないときもある。うそをつくことで守りたいものはいろいろあるが,それで最後の大事なものを失うこともある。そんなときにはうそをつかずに,自分のことを認めて話すのが頭のいい人間のすることだ。とすると,今回のコピープロテクトCD(CCCDと呼ばれるもの)をやめると述べたレコード会社は,底抜けに頭が悪い。幼稚園児以下だ。それは, 株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント(プレスリリース)とエイベックス株式会社(プレスリリース)というクズだ。

 彼らが音楽を愛してなどいないことは,もうみんな知っている。そして,結局うそをつくことをやめられずに企業としての寿命を迎えることもわかった。新しい音楽販売,新しい音楽企業が生まれてくるのを待たなければいけない。もしなにも出てこないのなら,もうこの国に音楽など必要ない。うそ,虚言,空言,寝言でことをすまそうとする人間は,一生信じるに値しない。結局,音楽を好きですと公然とのたまっていたような人や,CCCDに敢然と反対しますとこぶしを振り上げてきたような人たちを,あっさりバカにしたまま,すべてが終わったのでした。あ〜,おもしろかった。



 
[2004.10.02]
  あしたのネットワーク


 ▼Next big thing: The Web as your servant(USA TODAY.com)【英語】
  http://www.usatoday.com/tech/news/techinnovations/2004-10-01-cover-web_x.htm


 きょうはいつも,つまらない。あしたはいつも,楽しく,正しい。その,あしたの,ネットワーク。

quote:ウェブは終わりを迎えた。そして今,これまでの10年で形成されたものによって,次の大きな波がやってくる。インターネット2.0とも呼べるその次の波はまだ名前を持っていないが,一部ではワールド・ネットワークと呼んでいる。それは,ネットワークがあなたの執事になることだ。学問と軍事のためにあったインターネットは,10年前にコンシューマーのものとなった。1994年にアマゾン・コムが誕生し,1995年にイーベイとヤフーが設立された。その後はブームが去って目に付いたのはグーグルぐらいだが,ウェブはWi-Fiによる接続,GPS,RFIDなどと結びついてより大きなネットワークとなる。

 1994年に3800万人だったインターネットユーザーは,2004年には8億人になったという。1994年に3000個あったウェブサイトは,2001年には3000万個になった。だが,そんなことはどうでもいいことだ。過去にも現在にも,なんの希望もない。大切なのは,あしただけだ。ネットワークは十分な情報を蓄えた。ぃゃ,まだ全然足りないが,最低限の情報は持ち合わせた。検索すればほとんどの情報は手に入る。ファイル共有を使えばほとんどの音楽も動画も手に入る。おかしいことではない。ネットワークとは,もともとそのためにあったのだから。

 ワールド・ネットワークとは,別の新しい情報源のことではなく,いまあるネットワークをいかに活用するか,の話だ。現在は,情報は引き出すものでしかない。検索キーワードが必要だし,ダウンロード登録が必要だ。そこに,頭脳を持たせることで,ワールド・ネットワークとなる。必要な情報を的確に探し出して提示し,関連する情報もすべて網羅して準備する。GPSによって,現在の場所から移動先への交通機関や事故情報,天候,道筋にあるイベントや飲食店などが網羅され,必要に応じて提示される。RFIDによって,たとえば冷蔵庫にある食材に合わせたレシピが考えられて提示される。そんな,過去とも現在とも違う生き方を形成する。「思う」ことは人間の仕事だが,その先にある生活,行動,人生は,ネットワークが創っていく。おかしいことではない。ネットワークとは,もともとそのためにあったのだから。



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